この記事はMobility Technologies Advent Calendar 2022の20日目です。
2022/10/26にAWS Autotech Forunm 2022にてDRIVE CHARTのAI開発を促進するための基盤づくりや日々増加するトラフィックに対して安定的にサービスを運用するためのアーキテクチャについて紹介しました。この記事ではその内容を踏まえ、AI開発基盤のこれまでの取り組みとこれからの将来像について紹介します。AWS Autotech Forunm 2022の発表資料は本記事後方に掲載しています。
DRIVE CHARTのAI全体像
Mobility Technologiesが提供する次世代AIドラレコサービス「DRIVE CHART」は交通事故に繋がる可能性の高いリスク運転をAIによって自動検知し、運転傾向を分析する、AIとIoTを掛け合わせた交通事故削減支援サービスです。
DRIVE CHARTでは運転記録をレポートとして提供し、定量的な運転の振り返りが可能になっています。検知できるリスク運転は急加速、車間距離不足、脇見などがあります。
AI開発、つまりリスク運転を検知するための仕組みづくりではドラレコに搭載しているカメラやセンサーから得られる動画データやセンサーデータをもとに、日々複数のチームが膨大なデータをもとにコンピュータビジョンやデータサイエンスを駆使しています。
下記にDRIVE CHARTが提供する代表的な機能とリスク運転検知のシステム全体像を紹介します。
- DRIVE CHARTの代表的な機能
- DRIVE CHART AIによるリスク運転検知システムの全体像
AI開発を支える基盤づくり ~これまで~
AI開発ではデータとコンピューティングリソースが重要です。これまではAI開発者が自律的にデータを収集し効率効果的に開発できる基盤づくりを整備してきました。
一貫性のあるデータフロー
- AI開発者が自律的にデータを集めアノテーションし実験を行える環境を整備してきました
- データには動画やセンサーデータがあります。それらを統一的に収集するための仕組みを用意しています
- アノテーションは社内の専門グループに依頼します
- アノテーション仕様などはAI開発者とアノテーショングループが共同で作成します
- NotaというDeNAが開発するコンピュータビジョンタスク用アノテーションツールを使用しています
GitHub - DeNA/nota: Web application for image and video labeling and annotation
シミュレーション環境
- 機械学習モデルやロジック変更時にどのような差分が発生するのか簡易的に確認できるツールが必要です
開発環境
- 個人情報が含まれるデータをAI開発で使用することもあるためセキュリティが確保された専用環境で開発しています
- 必要なセキュリティを確保しつつも開発生産性とコストを考慮した環境を整備してきました
- AWS Cloud9やAmazon SageMaker Notebookなども使用していましたが、現在は生産性の高いAmazon EC2 + SessionManagerの組み合わせがAI開発者に人気です
AI開発を支える基盤づくり ~これから~
日々増加するトラフィックのなかから継続的にデータを収集しAI開発の試行錯誤を迅速に行える環境を整えています
Data-Centric AI
- DRIVE CHARTの市場優位性を保つ方法の一つが継続的に価値ある機能を提供し続けることです
- 新機能開発には実験が必要不可欠です、そして実験回数を素早く回すことが重要です
- 日々発生する膨大なデータから必要なデータを収集し、実験データを自動で構築するとAI開発を促進することができます
- それがDRIVE CHARTで考えるData-Centric AIになります
- Data-Centric AIはこちらの資料が詳しいです
MLモニタリング
- 交通データはデータシフト、データドリフトが起きづらい分野ですが、近年ですとドライバーの方々はマスクを着用するようになりました。分析によって検知モデルに影響があるかないかは日々確認していますが、データ分布をもとに自動で検知する仕組みを構築中です
実験管理ツールClearMLについて
- 様々な実験からわかりやすくかつ容易に結果を比較評価できる仕組みが求められています
- MLFlowを使用していましたが、比較の容易性を考慮しClearMLを導入しました
- Mobility Technologies Advent Calendar 2022の22日目の記事でClearMLを詳しく紹介します
AWS Autotech Forum 2022発表資料
- 本記事最後にAWS Autotech Forum 2022の資料を紹介します