AI技術開発部の宇都です。Mobility Technologies (MoT)ではAI技術の発信強化の一環として、過去に発信した記事や発表資料をテーマごとにまとめる取り組みを始めました。本記事ではその第一弾としてタクシーアプリ『GO』のAI予約というサービスにおけるBigQuery, MLOps, 機械学習モデルの活用事例に関する記事・資料をまとめましたのでご紹介します。
AI予約とは
タクシーアプリ『GO』には時間と場所を指定してタクシー車両を予約するAI予約というサービスがあります。名前にAIとついているように、このサービスでは機械学習モデルや、統計分布を用いた数理モデルをコア技術として使用しています。従来のタクシー予約は人力による予約管理のため受けられる枠に限りがありましたが、AIによるリアルタイム需給予測を用いることで従来の10倍以上の予約依頼に対応できるようになっています。
BigQuery編
- タクシーを「希望の日時に呼ぶ」BigQueryによるAIとAPIインフラ
DeNA TeckCon2021で発表したスライドです。
前編ではAI予約で使われている数理モデルの紹介と、その数理モデルに入力するデータ生成にBigQueryを活用している事例を紹介しています。後編ではAI予約を実現するためのAPIインフラのアーキテクチャやRedisのメモリ最適化について紹介しています。
- AIを用いたタクシー配車におけるBigQuery徹底活用術
https://services.google.com/fh/files/events/d1-da-07.pdf
Google Cloud Day: Digital' 21の登壇レポートです。
AI予約におけるBigQueryの活用例として、BigQueryの地理関数を用いた地理空間データの処理や、並列処理による高速化、BigQuery MLによる機械学習モデルの利用などについて紹介しています。
MLOps編
- AI予約サービスのMLOps事例紹介
MoT TeckTalk #12で発表したスライドです。(対象の発表はスライドのP39から開始)
AI予約では雨や電車遅延などの直近トレンドに追従するために現時刻の直近のデータを利用しています。ここではそれに伴い発生する弊害や、季節性による推論精度の劣化という課題に対応するためのMLパイプラインと各ステップの詳細について紹介しています。
機械学習モデル編
- 機械学習モデルによるAI予約のユーザ体験の改善
MoT TeckTalk #13で発表したスライドです。(対象の発表はスライドのP54から開始)
AI予約では予約リクエストを乗務員が承諾してくれるかという点を考慮して、未来の車両供給量を予測しています。本資料では従来統計値を用いて算出していた「乗務員のリクエスト承諾率」の精度を改善するために、新たに機械学習モデルを導入した事例を紹介しています。
- タクシー予約を支えるMLモデルの継続的改善
MoT/コネヒト/Kanumuが語るプロダクト開発×データ分析 で発表したスライドです。
雨天時やコンサートなどの大型イベント時にタクシー需要が急激に高まり、予約が失敗してしまうことがAI予約で問題となっていました。本資料ではこの問題に対して、機械学習モデルへの気象データ導入、そして高需要イベント検知を行い予約失敗を減少させた事例を紹介しています。
社員インタビュー編
- 99.9%の配車率を誇る「希望日時配車」。“AIによるリアルタイム需給予測”で、タクシー業界の課題を解決!
https://now.mo-t.com/n/n45b069767391
AI予約の開発担当者へのインタビュー記事です。MoTは2020年9月にタクシーアプリ『GO』をリリースし、その3ヶ月後の2020年11月にAI予約(旧: 希望日時配車)をリリースしました。この記事では開発からリリースまでの過程やリリース当時の開発担当者の心境について語られています。
おわりに
MoTが提供するタクシーアプリ『GO』のAI予約では機械学習による需給予測モデルを中心としたAI技術を活用しサービスを運用しています。リリースから2年が経過しましたが、まだまだ課題も多く改善の余地があるため、今後も改善を重ねより良いサービスを目指していきたいと思います。